バッテリ（鉛蓄電池だけでなく二次電池全般）に超音波は絶対にダメ

http://kunisawa.net/
こちらのブログ記事
「最近バッテリーを全く交換しなくなりました～！」
に於いて、サルフェーションに対して「超音波」というワードが使われています。

（なお参照、引用については当該ブログ管理者から許可を得ております）

この許可を得ることでコンタクトを取る前に、とことん狂気の記載があったのですが
何の改訂履歴も無く、表現を変える不誠実さすら現している訳ですが
それはまた別の問題ということで、ここから本題。

現在の自動車用バッテリはGS（二代目の島津源蔵さんの名前に由来）式を基礎とし
各社性能および耐久性の研究開発で各種バリエーションが商品展開されています。
高い物、安い物それぞれ相応の理由があります。

ただ、大原則の電極物理構造は共通しており（検索したらすぐ分かります）
これに超音波を与えたら、数分と保たずに電極が崩壊します。
　「車から下ろしたバッテリに超音波を与えたら回復すんじゃね？」
という最悪の事態を誘因しかねない最悪の記事であると言わざるを得ません。
※電極が崩落してリサイクルすら不可能な最低のゴミを作りかねません
（リサイクル不可能かつ埋立廃棄も困難となる可能性のご指摘を頂きました）

とりあえず速報としてここまで。
今週末は確定申告の作業がありますので、詳細解説はいつ出来るか分かりませんが
電気の知識が薄く、訳知り顔で思い込みを恥じることなく公開する愚行は看過できません。

-----2019/03/07追記-----
もし、当該記事を見て
　3000円くらいの超音波洗浄機分解して発振器/振動子を取り出し
　バッテリ自体を超音波洗浄機の洗浄槽のような使い方
を考えた方は、絶対にやらないでください。
最悪、内部で短絡して爆発まであり得ます。
また身近でこれらのことを考えている人がおられましたら
何が何でもやめさせるようにしてください。

-----2019/11/25追記-----

.まず、サルフェーションとは？

日立化成(株)
https://www.hitachi-chem.co.jp/japanese/index.html

ここが公開している情報の
バッテリーの劣化はなぜ起こる？
https://www.hitachi-chem.co.jp/japanese/products/cbt/car/021.html

が簡単かつ正しく説明されています。


しかしながらサルフェーションを検索すると出てくる
https://dictionary.goo.ne.jp/jn/265761/meaning/m0u/
などでみられるように
　「負極表面に硫酸鉛が結晶化して付着」
という明らかに表現が間違っている情報がいっぱいあります。

これを見て、知識が無ければ
　電解液のゴミが電極に不着するようにサルフェーション発生
　→メガネに皮脂やホコリが付着するのと同様のものと認識
そうだ、これは超音波洗浄機と同じだ！
などと意味不明な発言に繋がるものであると考えています。
（現在の記事でも「サルフェーションを落とす」と記載あり）

この「思い込み」「勝手な解釈」「誤った情報の拡散」の問題点として
サルフェーションに対して超音波を与える人が居る可能性があることが挙げられます。

https://m0800828.blog.ss-blog.jp/2019-11-25
このブログ記事でも記載しましたが、現在の一般的な車載用バッテリは
カルシウムバッテリに属するものであり、これは外部からの衝撃に弱い特徴があります。

もしバッテリに超音波振動子を直接あるいは液体を介した間接で振動を与えた場合
　与えた振動自体による極板および活物質の分離・崩壊
　キャビテーションによる極板、活物質およびセパレータの破壊
という事象が発生します。

これはバッテリ劣化要因の１つ「物理的損傷」を自ら実施する最悪の行為です。
そして最悪の場合、崩壊で電極短絡となり火花の発生が起きた場合に
電気分解による水素が近傍にあれば爆発事故に繋がる、危険行為に他なりません。

爆発しないまでも、電解液中での崩壊を起こせばリサイクルにも多大な影響があり
絶対に実施してはいけない事であることとして注意喚起をしたいです。

　最後に
物理学の基礎知識があれば、パルス電圧が横波であることに対し
超音波は縦波なので全く違う世界を同列に扱う愚鈍な行為なのですが
自分の考えが正しいと信じて疑わない発言が誤っていた場合、害悪でしかないため
自分も気をつけたいと思う次第です。

老害という言葉を好ましく思わないため、使いたくないものなのですが
少なくともバッテリの話題で超音波と書く行為は、社会に対する害悪であり
情報発信者の年齢によっては老害と断じる必要があると判断し、記事作成しました。